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水先案内人のおすすめ

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現代の名人芸を追い続ける

山本 益博

1948年生まれ 料理評論家、落語評論家、プロデューサー

春風亭小朝独演会 in 三越劇場

このところ、歌舞伎を上演する新橋演舞場で開いていた落語会を、今回は小ぶりな三越劇場でおこなう。本来、独演会と言えば三席、今回の演目は『鰍沢』『黄金餅』『竹の水仙』。なかでも、三遊亭円朝作と言われる『鰍沢』は初演とのこと。 近年の小朝は、菊池寛の小説を題材にしたりして、新境地を開拓することに意欲を見せていたが、ここへきて、一転、王道の古典に戻ったということだろうか。 かつての小朝は、若くして真打に抜擢され、持っている才能を縦横無尽に使い分けて、向かうところ敵なしだった。滑稽噺はもちろん、人情噺も音曲噺もどれもが秀でた出来栄えの高座だった。銀座で開いた落語会や、志の輔、昇太などのメンバーに鶴瓶をくわえた六人の会などの結成で、プロデューサーとしての力量も抜群だった。ただ、古典落語の高座にかつての切れと冴えが感じられず、天才がもはや枯渇したかにみえた一時期もあった。 三演目を見る限り、今回の独演会は、襟を正しての相当な意気込みを感じさせる。『鰍沢』ばかりか『黄金餅』も楽しみでならない。

19/10/12(土)

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