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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる
村山 匡一郎
映画評論家、大学講師
レンブラントは誰の手に
21/2/26(金)
ル・シネマ
近年は美術をめぐるドキュメンタリーが目立つが、その多くが現代において美術作品が投資ビジネスの対象として高額な値段で取引されている状況を描いている。2018年に44年ぶりに発見されたレンブラント絵画の真贋をめぐる論争、ロスチャイルド家所蔵のレンブラントの2点の絵画の美術館による獲得競争を中心に、絵画の価値とその取引を描いたドキュメンタリーだ。貴族や画商、美術史家やキュレーターの数多くのインタビューを交えて、それぞれの視点によるレンブラント絵画の価値を語らせながら、絵画とはいったい誰のものなのかを問いかける。筆者のように美術館や画集などで眺めるしかない人々にとって縁遠い世界の出来事だが、それでも今日の美術界に厳然と存在するのに驚きを禁じえない。
21/2/23(火)