Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

一瞬がすべてを救う映画、だれも断罪しない映画を信じています

相田 冬二

ライター、ノベライザー

タロウのバカ

無邪気。 という言葉のおそろしさが、すっかりスポイルされつつある昨今だが、邪気が無い、ということの途方もなさを、この映画はいま一度あかるみにして、戸惑うわたしたちを、にやにやながめている。 端的に、わかりやすく一例をあげるとすれば、菅田将暉という俳優が、真の意味で無邪気になったら、どのようなことが起きてしまうのか。わたしたちは、菅田将暉の才能をそれなりに理解しているつもりで映画と戯れてきたのだが、アタマではなくカラダで無邪気の本質を知ったとき、もう戯れている余裕などなくなる。 菅田将暉が本気を出したら、どうなるか。それを考えないようにしながら、呑気に映画と戯れてきたわたしたち全員を、この映画は廊下に立たせ、バケツで水をぶっかける。 そのおそろしさが。その心許なさが。 すがすがしくなったり、心地よくなったりするのも、映画というものの力なのだ。 無邪気を、噛みしめろ。 覚悟して、噛みしめろ。

19/9/3(火)

アプリで読む