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日本の舞台のほか韓国演劇、フィギュアスケートにも関心あり

上野 紀子

演劇ライター

ミュージカル『生きる』

黒澤明監督の名作映画をミュージカル化、作曲・編曲を手掛けるのはグラミー賞受賞作曲家のジェイソン・ハウランド…と予想もつかない驚きと期待で迎えた2018年の初演でしたが、誕生したのは胸を熱くする日本オリジナルの秀作舞台でした。映画の味わいをそのままに、心浮き立つテンポの良さ、じわりとさせるメロディの魔法はまさしくミュージカルの醍醐味。演出の宮本亞門さんの采配とともに、勝因はやはり市村正親さん、鹿賀丈史さんという日本ミュージカル界のラスボスふたりによるWキャスト主演でしょう。役所勤めも定年間近で生きる気力のない初老の主人公・渡辺勘治が、若い女性事務員・小田切とよ(May’nさん、唯月ふうかさんのWキャスト)との出会いによって、第二の人生を踏み出していく物語。枯れ葉状態からみるみる生気をみなぎらせていく勘治の変化を、市村さん、鹿賀さんがまったく違う人物像を立ち上げて魅せてくれます。勘治に変化のきっかけを与えるメフィストフェレスみたいな小説家が興味深いキャラクターで、これまたWキャストの新納慎也さん、小西遼生さんがそれぞれの妙味を発揮。初演では確か鹿賀さん&新納さん、市村さん&小西さんでタッグが固定されていたけど、今回の再演はシャッフルされてる! どの組み合わせで観るか、おおいに悩んでください〜。そして筆者の熱い期待は再演の新キャスト、勘治の息子・光男役を演じる村井良大さんに注がれております。

20/10/4(日)

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