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伝説のSF映画評論家が選ぶ、現代のSF、ホラー映画など

中子 真治

1953年生まれ SF映画評論家、飛騨高山留之助商店店主

ジョン・ウィック:パラベラム

『パラベラム』っていうサブタイトルからして鉄砲好きの琴線に触れ、期待で前のめりになりながらシティーウォーク・ハリウッドのユニバーサル・シネマを目指した。ジョン・ウィックのチャプター3が大ヒット公開中の5月のことだった。 パラベラムとは弾体直径9ミリ、薬莢19ミリの拳銃用カートリッジの名称で、ラテン語の諺“Si Vis Pacem, Para Bellum”(平和を望むならば戦いに備えよ)に由来している。とはいえ伝説の殺し屋ジョン・ウィックに、平和を望むことなど許されない。しかも戦いに備える前から不意打ちの連打を浴びまくる。 今作『パラベラム』は、世界中の犯罪組織を束ねる主席連合を敵に回し、さらに殺し屋たちのサロン、コンチネンタル・ホテルで殺し御法度の掟を破ったために、世界中の殺し屋から命を狙われるハメになった『チャプター2』の直後の物語だ。と、ここまで書いただけでも「殺し」の文字が踊る。3度も出てきて、困ったものだ。 それが長尺130分間、切れ目なく、体術、銃撃戦、時には分厚い本を武器に、馬や犬の加勢も得て、満身創痍の殺し屋ジョン・ウィックを殺そうとする賞金目当ての殺し屋を殺しまくる。数えるのを途中で諦めたけれど、100人ぐらいは血祭りに上げただろうか。創意工夫の過激アクションが美しすぎて、もはや殺しをアート・フォームにまで高めた映画。個人的にはナイフの投げ合いシーンが、子供の頃の雪合戦を思い出させ、無邪気に楽しめた。最後になってしまったが、ハル・ベリーは際立って麗しい。

19/10/2(水)

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