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水先案内人のおすすめ

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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み

伊藤 さとり

俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ

悪人伝

もはや韓国のトップスター、マブリーことマ・ドンソク様がハマり過ぎのヤクザのドンを演じ、重いパンチで極悪人をぶちかます痛烈なアクション映画は、よくある話なのに新鮮で面白い! その理由は、ひとえにマ・ドンソクの持ち味と韓国映画が得意とする『殺人の追憶』や『チェイサー』などの殺人鬼モノと、鍛え抜かれた本格的な肉弾戦によるアクションという相性の良さもあるに違いないのです。 物語がスタートし、マ・ドンソクの登場シーンは、サンドバックをドスンッドスンッと打ち込んでいる強烈な画。なぜ強烈かというと、そこは観てのお楽しみ。面白いのは、ヤクザという一見、肉体勝負のキャラクターかと思いきや、マ・ドンソク親分演じるヤクザは、意外やクレバー!? 子分たちに自分を襲った殺人鬼を捕まえて殺っちまえ!と言うのではなく、あれやこれやと策を練って、まるで刑事のような動きをするのだからこの親分への興味が湧いてきます。なんならバディとなる若い刑事の方が無鉄砲なのだから、よくあるバディものでもヤクザ&刑事なのに、真逆のキャラクター設定にして、物語がどこに向かうか分からない脚本の工夫がなされているのです。 しかもマ・ドンソクの迫力、威圧感は俳優というより、ホンモノ?と見間違いそうなほどで、そこは、俳優になる前にアメリカでクラブの用心棒をしていた経験も生かされているのかもしれません。 ヤクザvs刑事、というと喧嘩早くてやたらと銃撃戦が多いというイメージを持ちそうですが、この映画は頭脳戦と捜査色が強いので、実はクライムサスペンスという言葉がしっくりくるやも知れませぬ。そしてマブリーがめちゃくちゃチャーミング、強面でも。

20/7/14(火)

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