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水上 賢治
映画ライター
過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道
21/5/12(水)
新宿武蔵野館
本ドキュメンタリーが主として記録しているのは、2018 年に進行していた写真家、森山大道のデビュー写真集『にっぽん劇場写真帖』復刊プロジェクトの舞台裏と、当時の森山のフォトワーク。よくある偉人のこれまでのキャリアを振り返るような伝記的な要素はほとんどない。2018年のある一時期をとらえたに過ぎない。 にもかかわらず、まるで決定的な一瞬を収めた写真のように、本作は、何気ないようでその人間を物語る一瞬やふともらしたひと言を逃さずに切り取り、森山大道という写真家のこれまでの歩みとその作品の核心を映し出す。ここには、写真の世界に革命を起こした森山大道という人間の哲学が間違いなく記録されている。 詳細は伏せるが、「カメラはコピー機に過ぎない。だからいいのよ」という言葉に痺れた。
21/5/6(木)