演技のことよりも、その美貌がまず先に取りざたされる。ニコール・キッドマンもそうしたタイプの女優のひとりと言っていいかもしれない。 ただ、本作は、彼女のひとりの演じ手としての凄みを実感させる1作と言っていい。いわゆる汚れ役に挑んだことにはなるが、もはや演技とは思えないエリンという人間でしかないニコール・キッドマンの姿がここにある。 また、『スキャンダル』でも本人と見間違うほどの精巧な特殊メイクが話題を呼んだが、本作の特殊メイクも驚く。もはや俳優は、演じる対象が実在人物だったらその本人以上に本人になれもすれば、その俳優と気づかないぐらいの別人にもなれる時代がきたのかもしれない。

20/10/23(金)