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映画史・映画芸術の視点で新作・上映特集・映画展をご紹介

岡田 秀則

1968年生まれ、国立映画アーカイブ主任研究員

クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime

芸術家としてボルタンスキーが扱う素材はさまざまだが、死者たちの祭壇やモニュメントなど世に知られた作品群を超えて、あえて《イメージ》を生み出す作家として眺めてみよう。それは、初期に取り組んだ短編映画だけではない。金網をかけた古い人物写真に小さなランプの光を当てるにしても、茫洋とした電球たちの海にしても、私たちはそのずっしりと重みのある視覚性をまるごと受け入れざるを得ない。つまりボルタンスキーとは、どんな素材にどんな光を当て、どういう空間の中で見せるとどんな印象を与えるかを知り尽くした、老練にして鋭角的な《イメージ》の演出家なのだ。 美術館の地下でビデオ上映している『クリスチャン・ボルタンスキーの可能な人生』も必見だ。アラン・フレシェールに連れられて入った映画の保存庫、忘れられたフィルムが眠るその場所はいかにもボルタンスキーの思念に似つかわしく、避けがたく彼は魅了されてしまう。そこから彼の仕事は人類全体を表象するアーカイブへと向かう。そんなアーカイブ的感性の一端も垣間見ることができるだろう。

19/6/30(日)

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