スーパーパワーを手にした一人の男。本作はその謎だらけの男のルーツを巡る物語だ。 『クロニクルズ』『ブライトバーン』の系譜をたどるノルウェー発のSFスリラー……から徐々にファンタジーの様相を呈する本作は、アメコミ好き──特にソーが好きな人には興味深い一作となるに違いない。いや、なってほしい。ヒーロー映画は必ずしもDCやマーヴェルのように派手で大規模である必要はないことを、本作は再認識させる。 監督を務めたのはアンドレ・ウーブレダル。『トロール・ハンター』にはじまり、『ジェーン・ドゥの解剖』『スケアリーストーリーズ 怖い本』、そして本作と、私はどうやらウーブレダル監督とは相性がいい。どれも大好きだし、どれも間違いなく彼にしか撮れない作品だ。 ノルウェーの冴え冴えとした景色と薄暗い空の中、恐怖と怒りの雷（いかづち）が走る。

20/11/25(水)