写真家・伊澤絵里奈は長らく、ふたりの男性を被写体にして撮影をしてきた。ひとりは実の弟。ずっと仲良く育ってきた、半ば自身の分身のような存在にカメラを向け、寝癖がついていたりあからさまに不機嫌だったりするまったく飾らぬ日常の姿を写真に収めてきた。もうひとりは、現在のパートナー。弟と同じやり方で、日常の姿を撮ってきた。今展では両者の写真を、分け隔てることなくランダムにセレクトして展示してある。ふたりの男性はよくよく見れば年の頃以外はたいして似ていないのに、伊澤の写真の中ではほとんど区別がつかないようになっているのはなぜなのか。不思議さに包まれながら、一枚ずつの写真を覗き込みつつ、我を忘れて展示空間に佇むこととなってしまう。

20/1/5(日)