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水先案内人のおすすめ

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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

甦る三大テノール 永遠の歌声

1990年のローマでのコンサートを中心にしたドキュメンタリー。 ドミンゴ、カレーラス、指揮をしたメータは本人、パヴァロッティは亡くなっているので妻、他に興行師やレコード会社担当者らが当時を振り返るという、よくある構成なのだが、コンサートでの歌がコマギレではなく、しっかりと収録されているので、「関係者の話なんてどうでもいい、もっと歌を聞かせてくれ」という不満はまったくない。 その関係者の話も、互いを称える美辞麗句もあるけれど、興行の裏話的なものもあって、飽きさせない。 一回だけのつもりで開催した1990年のコンサートが大成功したために、続けざるをえなくなり、巨大ビジネスとなって、ある意味、堕落していく過程も描かれる。オペラを大衆化させたのはいいことだったのかという疑問など、問題点も指摘される。おさえるところはおさえてあるのだ。 それにしても、抜群の歌唱力と演技力がある異なる個性の三人のテノールが同時代にいたのは、いま思えば奇跡。あの頃、「次の三大テノールは誰か」と議論があったが、結局、見つからなかったのを思い出す。

21/1/4(月)

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