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水先案内人のおすすめ

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テレビプロデューサー テレビは見ずに演劇、映画、コンサートばかり足を運んでいる

波多野 健

1954年生まれ プロデューサー(イースト・エンタテインメント)

世田谷パブリックシアター+KERA・MAP 『キネマと恋人』

ケラリーノ・サンドロヴィッチ脚本・演出の本作はウディ・アレン『カイロの紫のバラ』をモチーフにしたファンタジーである。音楽も映像も手がけるケラさんならでは実に緻密に構成された舞台。実生活では恵まれないある女性が映画の中に喜びを見出すうちに、その映画の中から、彼女が憧れる人物がスクリーンを飛び出してくる。さらにはそれを演じる俳優もやってきて、不思議な三角関係に…。スクリーンに映し出される映画の中の人物と、舞台の生身の人間とが絶妙なタイミングで会話したり、音楽にあわせて出演者たちが大道具を動かしたりと、すべてが細かな演出の上に動いている。それも見事だが、主役を演じる緒川たまきさんのチャーミングなこと! ケラさんが創作した珍妙な方言を見事に自分のものにしていて、ケラさんに聞いたところ、緒川さんは自宅の中でもふとした時にその方言を口にしていて、全く違和感がないとのこと。他には大好きな村岡希美さんが相変わらず素晴らしいのと、緒川さんの非道な夫役を演じる三上市朗さんが実にうまい(三上さんはインチキ占い師の役もやっており、これもおかしい)。ケラさんの作品の中では珍しくブラックな部分が少なく、どんな層の人にも楽しめる作品になっている。すごくお薦めです。

19/5/23(木)

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