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水先案内人のおすすめ

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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

ライトハウス

登場人物はふたりだけ。しかも、そのひとりがウィレム・デフォー。それだけで十分に引きのある作品だ。 舞台は19世紀末のニューイングランドの孤島。ここにふたりの灯台守がやってくるところから物語は始まる。初対面のふたりはこの灯台で4週間を過ごすことになる。ベテランの灯台守は若い灯台守に厳しい仕事を全て押し付けてばかり。ようやく最終日と思ったら嵐が来て、ふたりは島に閉じ込められる。嵐はいつ収まるか分からない……。 ベテラン灯台守をウィレム・デフォーが演じる。絶海の孤島でウィレム・デフォーと暮らす。その設定からして恐ろしいのに、これがまた偏屈な上に狂気に憑かれているときている。そんな状況に取り残された若い灯台守の心中を思うと、察するに余りある。 全編モノクロで映し出される異様な殺風景が実に重々しく、その生き地獄感を助長。ただの日常描写ですら不穏でたまらなくなる。 見事に構築された、緊迫の心理ドラマだった。

21/7/9(金)

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