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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎とか文楽とか…伝統芸能ってカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

【公演中止】歌舞伎座四月大歌舞伎

【第一部】 二、『勧進帳』 『勧進帳』といえば歌舞伎十八番の中でも、というより歌舞伎の数ある演目の中でも1、2を争う人気演目。四月大歌舞伎第一部では、高麗屋二代による武蔵坊弁慶の『勧進帳』がお目見えする。白鸚が弁慶を勤めるA日程では富樫左衛門を幸四郎が、幸四郎が弁慶を勤めるB日程では富樫を尾上松也が勤める。 白鸚の祖父・七代目松本幸四郎は生涯でなんと1600回以上弁慶を勤め、白鸚も1958年に十代のときに歌舞伎座「子供歌舞伎教室」で勤めて以来、これまで1150回演じてきた。これは祖父に次ぐ上演回数であり現役最多だ。そして今月の上演を含めると1160回を超える。 「江戸時代から脈々とお芝居が続いているのはお客様のおかげなんです。一つの舞台、一つの役、それを勤める一人の役者、それをずっと見守り続けてきてくださったのがお客様。弁慶を千百数回という回数、僕が勤められたのも、ひとえにお客様が劇場へ来て見てくださったからだと思っております。その思いは最初に弁慶を勤めた頃から、世情がどうであろうと何も変わりません」と白鸚さんは語る。幸四郎さんもこう加える。「そしてここからまた新たに、白鸚の弁慶が始まります」と。 一方の幸四郎さんが弁慶を勤めるのは、2014年に初めて勤めて以来6度目だ。 「(弁慶は)受け役だと教わりました。この役には”攻撃こそ最大の防御”というイメージがありますが、冷静に台詞を見直してみると、自分から発するのは花道の出の第一声を入れて二つ。あとはほとんど人に尋ねられて受けて答えているんです。しっかりと正面で受けて相手に返す、その強さ。勤めていてそこが一番苦しい。だからこそ強さを感じていただけるのでしょう」と答える。 また今回、幸四郎さんの弁慶には「滝流し」と呼ばれる部分が加わる。ただでさえハードな弁慶の舞がさらにダイナミックに、また『勧進帳』の松羽目物らしさも一層強く感じられるかもしれない。 「僕は滝流しの入った弁慶を見て育ちましたので、滝流しの付いた『勧進帳』の素晴らしさも知っていただきたい」とも。白鸚さんも「若い頃僕もやりました。七代目幸四郎も踊っています。今は(動きが)大変なので無理ですが」と微笑んだ。 今回はかつてない親子競演である。絶対に見逃せない。

21/3/24(水)

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