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歯に衣着せない辛口コメントが人気のクラシック業界ご意見番

東条 碩夫

音楽評論家

日本フィルハーモニー交響楽団 第731回東京定期演奏会<春季>

広上淳一は、いま最もオーケストラをまとめるのが巧い指揮者だろうと思う。京都市響をわが国でベスト3の存在にまで引き上げた魔術師ぶりは、ただものではない。しかもその音楽はあたたかさを感じさせる。こういう指揮者は、なかなかいない。 その広上が、今回は日本フィルに客演して、ブルックナーの「第6交響曲」を指揮する。彼がブルックナーの交響曲を取り上げるのは、非常に珍しい。この曲は、いわゆる「ブルックナーらしからざる」雰囲気を持ち、第1楽章冒頭の主題など「野生のエルザ」あるいは「アラビアのロレンス」のテーマにそっくりで、この作曲家のものとしては野性的な迫力を感じさせるだろう。転調の面白さ、頂点へ向けて盛り上がる推進力など、聴きどころも充分だ。 前半は、ドヴォルジャーク(「ドヴォルザーク」は誤り)の「ヴァイオリン協奏曲」で、こちらの冒頭開始部分は何となくベートーヴェンの「第9」第1楽章を連想させる。ソリストは10年前にヴィエニャフスキー国際コンクールで準優勝した若手の小林美樹で、これも期待感満載だ。

21/6/4(金)

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