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水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
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新進女優や新たな才能にフォーカスした作品を中心に紹介

イソガイマサト

フリーライター

惡の華

クラスのマドンナ・佐伯の体操着を盗んだり、ブルマーの匂いを嗅いだり、問題児の女生徒・佐和の変態的な要求に翻弄される“クソムシ野郎”の主人公・春日に体当たりで挑んだ伊藤健太郎にとにかく拍手を贈りたい。彼が全身全霊で体現したからこそ、アイデンティティを崩壊させる春日の苦悩と葛藤がリアルに伝わり、誰もがひた隠しにしている変態性も伴う裏の顔=本性がこぼれ落ちる。 原作コミックそのままの佐和になりきった玉城ティナ、高校生になった春日が出会うもうひとりのヒロイン・常磐に扮した飯豊まりえの存在感も光るが、女優陣で最も注目すべきは、佐伯を演じた弱冠16歳の秋田汐梨だ。可愛らしさの裏の悪意が見える一瞬の表情は背筋が凍るほど怖い。 そして特筆すべきは、人気アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(11)の岡田麿里が脚本を書いていること。本作がマニアックな変態映画に陥らず、誰もが共感できるものになったのは彼女の功績と言ってもいいだろう。いずれにしても、井口昇監督(『片腕マシンガール』(08)、『覚悟はいいかそこの女子』(18))の現時点での最高傑作であるのは間違いない。

19/9/24(火)

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