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水先案内人のおすすめ

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謎、秘密、恐怖が渦巻くスリル&サプライズ映画が専門分野です

高橋 諭治

映画ライター

返校 言葉が消えた日

台湾の人気ゲーム『返校』に基づくこのミステリーホラーは重いテーマを扱っている。国民党の独裁政権下で市民生活の自由が厳しく制限されていた20世紀半ばの“白色テロ”の時代。現在の台湾のイメージからは想像もつかない暗い歴史を伝える一作なのだ。 教室で眠りから目覚めた少女が不気味な廃墟と化した校内をさまよい歩きながら、いくつもの謎を解き明かしていく設定と、怪奇幻想が渦巻く異次元的な世界観は台湾版『サイレントヒル』と言うべきか。フラッシュバックを多用し、パズルのように哀しい真実を浮かび上がらせていく展開はドラマ性も高い。 おそらく白色テロの時代を知らない若い世代をターゲットにして作られた娯楽映画なのだろうが、くしくも香港やミャンマーで強権的な政府による弾圧の嵐が吹き荒れ、台湾海峡情勢も不穏化する今において、いっそうタイムリーなメッセージを持つ作品となった。主演女優ワン・ジンの極めて“ホラー感度”の高い繊細な演技も素晴らしい。

21/7/22(木)

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