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水先案内人のおすすめ

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ダメな人が出てくる情けない話やバカげた映画を中心におススメ

村山 章

映画ライター

佐々木、イン、マイマイン

初監督作『ヴァニタス』が2016年のPFFアワードで観客賞に輝いた内山拓也監督と、同作に主演していた細川岳が共同脚本で生み出した青春映画である。と、説明をしてみても、おそらく世の中の多くの人は彼らの名前を知らず、この映画の存在に気づいてないのではないか。 もちろん今年の東京国際映画祭で上映され、すでに劇場公開も始まっているので、この作品の尋常じゃない魅力にとっくにハマっている人は少なからずいる。ただ、ここではあくまでも未知だという人向けに言いたい。この映画、マジでびっくりしますよ! 27歳の若者が、高校時代の親友を回想するというのが大まかな筋書きだが、とにかく決して劇的ではない時間から芳醇な空気を切り出す力が素晴らしい。そして、劇的ではない断片が繋がっていくことで、誰もが感じたことがある人生や日常のうねりが脈々と息づき始めるのだ。正直、胸の奥を揺らすような瞬間のオンパレードだと思った。 内山監督は先日トークショーで20代も終わりが近いのに“新鋭”と呼ばれることへの違和感を語っていたが、今、新しい世代の才能に触れる最も近道は、この映画を観に行くことだと断言しておきたい。

20/12/15(火)

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