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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

羊飼いと風船

ふらりと映画館に入って、たまたま上映されていた作品を観る。どんな内容なのか、監督や俳優は誰なのか、事前情報は何も知らない。過剰な期待もない。ただ、観終わった後は思いがけず幸福な時間を過ごせた偶然に感謝している。 『羊飼いと風船』の感想を表現すると、こんな感じだろうか。チベット映画を観るのは初めてだが、物語に、映像に、登場人物に、魅了された。草原で牧畜をして暮らす3世代6人家族の日常をカメラは捉える。近代化、信仰、輪廻転生、そして生と性。多様なテーマを織り込みながら、変わりゆく故郷をドラマチックに描いたペマ・ツェテン監督のことを知りたくなった。 2019年の第20回東京フィルメックスで最優秀作品賞に輝いた話題作。ペマ監督の作品が同賞に選ばれるのは3度目だ。しかし、日本での劇場公開は初めてとなる。 ペマ監督は1990年代に小説家デビュー、2000年代から映画を撮り始めた。本作は、脚本が北京の検閲を通らなかったため、一度自ら小説にしたという。そこから修正を加えてより繊細な脚本に仕上げ、検閲の許諾を得たことから映画化された。 「風船」を介した視線の描写が胸に迫る。この映画に出会えたことが素直に嬉しい。

21/1/18(月)

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