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水先案内人のおすすめ

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パール兄弟、作詞家、プロデューサーとして、音楽を中心に活動中

サエキけんぞう

ミュージシャン

パラサイト 半地下の家族

傑作、問題作、そして必見! 東洋初のアカデミー作品賞ということで注目度も高まる中で観たが、これは凄いです。知っているようで知らない韓国への理解も深まる、その作品のポイントとは? まずは画面が凄い! マーティン・スコセッシやクエンティン・タランティーノに傾倒しているというポン・ジュノ監督の創り出す構図は、我々の好奇心を満たしつつ、美しい。韓国のドメスティックを映しつつ、国際基準。その抜けの良い絵作りにおいて、日本は負かされている。 次に俳優の親近感。金持ちに寄生する半地下家族の息子役のチェ・ウシク。韓国青年の、受験戦争を含めた人生航路の大変さ、焦燥感を底に秘めた演技は、日本人の僕から見てもあえぐ息づかいが伝わる。その妹役のパク・ソダムは、いまや韓国のトップスターなのだが、キュートでいながら何気ない瞬間に「普通のブス顔」になれる親近感が魅力で、そこは日本人にない奔放さ、自然さを感じた。 ストーリーは、まさにジェットコースターで、韓流映画には定番の血炸裂もある、ショッキングな内容。それがお手盛りにならないのは、全てのディテイルに「厳し過ぎる格差社会である韓国」「家族の絆が強い」「父子のタテが強い儒教的社会」といった、近くて遠い国、韓国のリアルな現実の光と影、良い面、暑苦しい面、が遠慮無くリアルに描かれているから。この映画の持つ確かな「社会性」に着目しないで見ると、その感情の激しさの理由を見失い、気圧されるかもしれない。 勝るとも劣らない貧しさを描いた日本の『万引き家族』は、これと比べるとファンタジー性が高いと思えるほど。特にラストの貧民街の洪水シーンの凄まじさは、ハリウッド物にはない深みがある。 「隣の国を見てやろう!」という意気込みで見れば受けること請け合いである。女性の美しさも格別だ。

20/2/27(木)

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