フランス大好きな朝香宮夫妻の旧居であり、アール・デコの館として国の重要文化財にも指定されている東京都庭園美術館。この場所の力を借り、いつにも増して美しさがましているのが、現在開催中のルネ・ラリックの展覧会。もともと宝飾デザイナーであったラリックは、ガラスの「かたまり」が持つ質感の魅力を熟知。ときにはエレガンスに、ときには力づよく、新しい美の形を押し出していくのだ。単なる美しさだけでなく、香水瓶で「香り」、カーマスコットで「スピード」や「豪華さ」など、目に見えないイメージを実体化させる発想にもため息がでてしまう。新館で特別出品されているモーリス・マリノのガラス器も、ラリックとはまた異なるガラスの美しさが出ていて素晴らしい。

20/3/29(日)