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水先案内人のおすすめ

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木谷 節子

アートライター

電線絵画展-小林清親から山口晃まで-

アニメやマンガで見たことがあるからなのか、電信柱が乱立する日本の街の風景を、「日本的」と感じる外国人は多いらしい。良い悪いは別にして、そんな電信柱のある「日本らしい」景色がどのように生まれ、描かれてきたのかを、明治(正確には幕末)から現代まで、ひたすら電信柱のある絵で追う、という、とてもステキな展覧会だ。 小林清親や岸田劉生、山口晃といった有名画家の作品から、電柱の上で電線を固定する「碍子(がいし)」の数々、そして昔懐かしい「デンセンマンの電線音頭」のレコードジャケットまで、美術館で電信柱に関する知識をこんなに得られるとは思わなかった!  明治時代には、聖地・日光へと続く宿場町がすでに電柱だらけなことに笑ったり、大正時代の自宅近くが畑に電柱が一本立ってるだけという過去の風景に呆然としたり、と悲喜こもごも。電信柱を描いた美術作品から、近代日本の文化や歴史、都市の広がり、災害との関わり、果ては日本人の美意識や国民性のようなものまで見えてくる。マニアックだけど、企画者の愛と情熱が詰まったこんな展覧会、今後もぜひ見たいものです。

21/3/13(土)

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