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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

石井輝男 キング・オブ・カルトの猛襲

『網走番外地』(12/4〜12/7、12/11 〜12/14) ラピュタ阿佐ヶ谷「石井輝男 キング・オブ・カルトの猛襲」(11/24〜1/25)で上映 話題の書『高倉健、その愛。』(小田貴月著)の中で、健さんは『網走番外地』と石井輝男監督について以下のように語っている。 「監督が現場で見当たらなくて僕が迎えに行ったことがあったんだ。まだ寝ていてよく見たら布団にうっすら雪が積もってるんだよ。部屋の窓ガラスが割れててそこから雪が吹き込んでるの。(中略)いくら予算を削るったって監督が窓ガラス割れてる宿に泊めさせられるなんてね。カラーの予定がモノクロになるし」。 今ではアクション映画の名作として語り継がれている『網走番外地』だが、鶴田浩二主演の『関東流れ者』の添え物として公開された。 健さんは「添え物はともかく何とかカラーで撮らせてくれ」と会社と談判したが、当時社長だった大川博はその健さんに対して、「文句があるなら主役を梅宮辰夫に変えるぞ!」と言い放ったというエピソードが残されているほど、酷い扱われようだった。 会社側の理不尽な対応は健さんを発奮させ、石井監督の映画魂に火をつけた。南原宏治、丹波哲郎、嵐寛寿郎など共演者にもふたりの怒りが乗り移っているように見える。そのエネルギーは7年間にわたり17本もの続編を作らせた。 そして健さんは大スターに成長し、石井監督もヒットメーカーとなっていく。 『網走番外地』は橘真一や鬼寅などの囚人、保護司や看守の物語だけでなく、スタッフやキャストの人生をも変えた“運命の映画”なのだ。

19/12/3(火)

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