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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの

佐藤 久理子

パリ在住、文化ジャーナリスト

フォードvsフェラーリ

こんな映画を観ると、つくづくハリウッドの底力を感じる。ストーリーテリング、娯楽性、臨場感、エモーション、俳優の技量。もうどこを取っても完璧な、金太郎飴状態なのだ。 60年代、ル・マン24時間レースの王者フェラーリに、“粗野なアメリカの新参者”フォードがメンツをかけて挑んだ実話が元。ほとんどミッション・インポッシブルに挑んだ、元レーサーの開発者キャロル・シェルビー(マット・デイモン)と偏屈な天才ドライバー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)の苦闘と友情が主軸だが、ケンと息子の絆や、アメリカとヨーロッパの流儀の違いなど、細部のツボも押さえつつ、醍醐味溢れるクライマックスのレースシーンになだれ込む。さらにベイルの演技がまたしても巧すぎて、もう目頭が熱くなるのを抑えられません。

20/1/10(金)

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