展覧会の開催決定後、塩田さんにガンの再発が発覚したと聞いて余計にそう感じたのだけれど、命、いや、むしろ『生』に真正面から向き合いながら作りあげた展示であったのだろうと。今回のキュレーターである森美術館の片岡さんも「（展覧会を）やめることはそもそも塩田さんの選択肢になかった」と話していたが、塩田さんが「展覧会までは生きていたかった」とレセプションでスピーチされていたのが印象深かった。また、アートというものの原型のひとつは見えないものを可視化していく作業なのだということを思い起こさせてもくれる。魂のふるえの表現に、こちら観る側の魂も共鳴させられる渾身のプレゼンテーションだと感じた。マリーナ・アブラモヴィッチに師事していたことも今回知ったが、初期の浴槽のパフォーマンスあたりは、その過激さを含めて、色濃く影響を受けていらっしゃるなあとも。

19/7/4(木)