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恩田 泰子
映画記者(読売新聞)
星の子
20/10/9(金)
TOHOシネマズ 日比谷
「怪しい宗教」を信じている両親と暮らす少女が、岐路に直面する話。中学3年。好きな人ができた。進学のこともある。今まで当たり前に受け止めていたことを、ちゃんと見つめ直さねばならなくなる―――。そう聞くと、特殊な女の子の話だと思ってしまうかもしれないが、芦田愛菜が演じる主人公は拍子抜けするほど、普通っぽい。ニュートラル。 劇中、ある人物が、彼女の両親を見て「狂っている」というけれど、そういう自分は狂っていないのか。この映画を観ると、私たちの「当たり前」も問われるのだ。今村夏子の原作小説と、大森立嗣監督の人間社会へのまなざし、そして、すっと、でも強い力で観客をひっぱっていってしまう芦田という女優の、幸せな邂逅から生まれた1本だ。
20/10/5(月)