金子修介監督、伊藤和典脚本、樋口真嗣特技監督の黄金コンビによる1995年公開の本作は、一級のエンタテインメント作品として特撮ファンのみならず一般の映画ファンをも瞠目させた。「キネマ旬報ベスト・テン」の長い歴史のなかで「怪獣映画」がランクイン（しかも2位）したのはこれが初であり、なんと作家性の強い映画が占める「映画芸術」日本映画ベストテンでは実に1位を獲得して（！）騒然となった。それもこれも、決して潤沢ではなかった予算のなかで物語展開の迫真性や特撮アングルのダイナミックさに凝った「センスとアイディア」の賜物だ。四半世紀を経て、さらに映像と音がドルビーシネマ仕様に進化するというのは驚きだが、あくまで面白さを保証する根幹はその濃密にして自在な「知恵」の部分であり、それが本作の古びない所以である。

20/11/26(木)