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水先案内人のおすすめ

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現代の名人芸を追い続ける

山本 益博

1948年生まれ 料理評論家、落語評論家、プロデューサー

朝日名人会 第213回

現在の有楽町・朝日ホールがある場所は、かつて朝日新聞社があった。その中に「朝日講堂」があって、新聞社主催で、毎月、クラシックのレコードをステレオで聴くコンサートが開かれていた。舞台上には音響装置だけで、ビクターレコードのクラシックの新譜を聴くという趣向、音楽評論家野呂信次郎の解説付きだった。 今これを落語バージョンでやるとしたら、往年の古今亭志ん生や桂文楽らの高座の映像を観るという「名人会」だろうか? 「朝日名人会」は、現代の名人を目指す精鋭落語家の競演の場所とでも言えようか。毎回、大看板から選りすぐりの新鋭の若手までが高座に上がる。 今回は、西から桂文珍が『たちきれ』東から入船亭扇遊が『井戸の茶碗』橘家圓太郎が『おかめ団子』三遊亭わん丈が『壺算』を高座にかける。『たちきれ』は若旦那と芸者の切ない恋を描いた大ネタ、『井戸の茶碗』は悪者が一切登場しない、落語家にとって“もうかり噺”といわれる名作、『おかめ団子』は今やり手があまりなく、落語家の技量が試される噺、『壺算』は爆笑を呼ぶ噺とヴァラエティに富んでいる。 『たちきれ』は、文珍の師匠だった五代目桂文枝の十八番だった。これがこの日一番の聴きものだろうか?

21/10/6(水)

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