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新進女優や新たな才能にフォーカスした作品を中心に紹介
イソガイマサト
フリーライター
名も無き世界のエンドロール
21/1/29(金)
TOHOシネマズ 日比谷
幼馴染みのキダとマコトはそれぞれの世界でのし上がり、10年ぶりに再会。キダは、政治家の令嬢でトップモデルのリサにプロポーズしようとするマコトをサポートするが……。 本作はそんなハートフルな設定に、『キサラギ』(07)『ストロベリーナイト』(13)などトリッキーな作品で定評のある佐藤祐市が数々の罠を仕掛けた衝撃のサスペンス。果たして、マコトとキダを巻き込んで実行しようとする“プロポーズ作戦”の本当の目的は? 映画は現在と複数の過去を幾度となく往来しながら突き進むが、キダ役の岩田剛典とマコトに扮した新田真剣佑がその時代ごとのキャラクターの心情と嘘を繊細な表情と動きで演じ分け、観る者を騙しまくる。そう、ふたりの演技力こそが罠であり、本作の成功の鍵を握るもうひとつの見どころだ。そしてもうひとり、傲慢なリサを演じた、いままでに見たことのない中村アンにも注目! その捨て身の芝居に、彼女の女優としての可能性を感じるに違いない。
21/1/28(木)