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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

夕霧花園

『九月に降る風』や『星空』、『百日告別』といったタイプの異なる恋愛映画を世に送り出してきた台湾のトム・リン監督が、今作品ではマレーシアを舞台に第二次世界大戦中、それに続く1940・50年代、さらに80年代という三つの時間軸を行き来しての男女の切ない恋をスケール感たっぷりに描いています。 『チョコレート・ファイター』や『メモリーズ・コーナー』など海外作品への積極的な出演が記憶に新しい阿部寛を主演に、相手役にはマレーシア出身で『The EYE 【アイ】』でおなじみのリー・シンジエ(同じ役の30年後はシルビア・チャン)と国際色豊かな豪華キャスティングも話題です。 それに加えて本作品を見応えある内容に高めているのは、主人公有朋の職業を日本庭園の庭師にすることで、映画の中で再三にわたり使われる「借景式」という造園上の言葉の意味が広がり、彼は埋蔵金「山下財宝」の秘密を握るスパイかもという疑念を観客に抱かせるだけでなく、ミステリアスな有朋に惹かれていく女ユンリンに有朋との間には時空を超える愛があったと確信させる道具だてにもなっていることです。 昨年の大阪アジアン映画祭オープニング作品。

21/7/21(水)

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