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三鷹市芸術文化センターで、演劇・落語・映画・狂言公演の企画運営に従事しています

森元 隆樹

(公財)三鷹市スポーツと文化財団 副主幹/演劇企画員

芸劇eyes参加作品 ゆうめい『姿』再演

本公演の初演は2019年10月、筆者が従事する三鷹市芸術文化センター星のホールでの若手劇団フェスティバルMITAKA “Next” Selection 20thにご出演いただいた際に上演された。このフェスティバルは毎年秋に実施している。だから毎年のように、台風の進路を凝視することが繰り返されてきた。それ故、身構えてはいるし、一喜一憂せず最善手を模索するのは常だったが、『姿』公演千穐楽の3日前に関東地方に近付いてきた台風は、「未曾有の」という言葉を代名詞に勢力を強めていった。やがて、千穐楽の3日前と2日前の計4公演の中止を余儀なくされた。公演はお客様の支持を集めていて、中止となった4公演すべて完売していた。 その際の劇団の動きは的確で、そして迅速だった。考えうる限りの対応を試み、その中心には「自分が、観ることができなかったお客様の立場だったら」という思いが張り巡らされていた。改めて、心からの敬意を表したいと思う。 その公演が、1年半の年月を経て、再演されると聞いた。東京オリンピック2020前夜を現代の座標軸として描いていた作品が、まさか未だに「東京オリンピック前夜」の状況のまま上演されることになるとは誰も予想しなかったと思うが、この作品は、その現代の座標軸など大きな問題ではなく、永遠とも呼べる、家族と人間関係の物語である。局所的に描かれたかにみえるワンシーンが、連綿と連なってく人類の生の営みを映し出していく。 1年半後の今、「ゆうめい」がこの作品をどう仕上げてくるのか、そして、この作品の再演を経て、「ゆうめい」が次にどんな作品を生み出していくのか。 注目して拝見したい。

21/4/24(土)

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