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映画史・映画芸術の視点で新作・上映特集・映画展をご紹介

岡田 秀則

1968年生まれ、国立映画アーカイブ主任研究員

長江にいきる 秉愛〈ビンアイ〉の物語

『長江にいきる 秉愛〈ビンアイ〉の物語』2/15~17 早稲田松竹にて上映。(『帰れない二人』と2本立て) 都会に生きていると、自分らの「当たり前の生活」が何に支えられているかをつい失念してしまう。現在開催中の国立映画アーカイブの上映企画『戦後日本ドキュメンタリー映画再考』の中でフィーチャーされているダムの建設記録映画は、人間が自然を征服する過程を圧倒的に肯定し、電力供給や水利といった現代生活でのプラス面がことさらに強調されるが、その背後にある犠牲はほとんど顧みられない。   そんなタイミングで、2007年に公開された『長江にいきる 秉愛〈ビンアイ〉の物語』が久々に上映されるという。たった3日間だが、これは見逃せない。中国の国家事業である三峡ダムの建設のため、絶望的な立ち退きを迫られた女性を追ったドキュメンタリーだが、厳しい立場に追い込まれながらも、地べたに根を張るかのように知的かつエネルギッシュに抵抗するビンアイの姿は忘れられない。巨大な権力の前に屹立する、たったひとりの人間の厳粛な意志に触れるために、ぜひ早稲田松竹へ駆けつけていただきたい。

20/2/13(木)

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