Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ 4K完全無修正版

バーキン、バーキン、バーキン! 観終わった後、そう主演女優の名前を連呼したくなった。ジェーン・バーキンの魅力があますことなく表現されている。これは、バーキンのための作品だ。 監督・脚本・音楽は、仏音楽家のセルジュ・ゲンズブール(1928~91年)。恋人のバーキンとのデュエットソング『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』を1969年に発表しているが、この曲を題材にして自ら初めてメガホンを取ったのが本作だ。アメリカ南西部を想起させるようなロードサイドのスナックバーを舞台に、バーキンと同性愛者の男性2人との関係が描かれる。 75年の公開時、ロングヘアが印象的だったバーキンを男の子のような短い髪型にして登場させたことで「ゲンズブールはバーキンをゴミ箱へ入れた」と酷評されたという。バーキンは、同性愛者の美男子との激しい性愛シーンに臨み、蝿が舞うような場末感が漂うホテルのベッドで裸身をさらすなど、飾らない迫真の演技で観る者を圧倒する。男性たちからぞんざいにされても、その美しさはいささかも損なわれない。不思議なことだが、逆に輝きが増していく。 2021年はゲンズブール没後30周年。全編に流れる彼が作曲したタイトル曲の旋律が美しい。

21/5/31(月)

アプリで読む