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夏目 深雪
著述・編集業
MONOS 猿と呼ばれし者たち
21/10/30(土)
シアター・イメージフォーラム
ブラジル生まれ、エクアドル人の父とコロンビア人の母を持つというアレハンドロ・ランデス。カンヌなどで注目されてきた新鋭の第3作目がついに日本公開される。少年少女兵たちが薄暮の草原で騒ぐトップ・シークエンスから目が離せない。彼らは“モノス”というコードネームを持つゲリラ組織の一員であり、人質である米国人女性(博士)の監視と世話を任されている。 という大まかな筋書きさえ分かっていれば、あとはただ集団による力関係の変化、突発的な暴力、ひたすら目に眩しい自然を追うだけだ。『アンダー・ザ・スキン』などのミカ・レヴィが音楽を担当しているのも見どころ(聴きどころ)だ。整合性を失った世界ではサウンド・デザインと音楽のみが主旋律となるからだ。 我々観客はただこの原始的な世界を“体験”するのみという、今年最も贅沢な映画体験ができる映画。
21/10/16(土)