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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる

村山 匡一郎

映画評論家、大学講師

生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事

明治政府の琉球処分で強権的に日本国家に統合された沖縄は、第2次大戦でアメリカ軍の激烈な攻撃で壊滅状態になり、数多の犠牲者を出した。当時の帝国陸軍は“軍官民共生共死”を強いて官民を死の道連れにしたが、その時の県知事は軍部の命令にあがらい、自らは死を覚悟しながら県民に「生きろ」と述べたという。1944年1月に本土から赴任した島田叡だ。その彼の赴任から沖縄戦の終結までを、行政官の視点から時間を追って描いていくが、沖縄を本土防衛の捨て石とした陸軍による国民を卑下した傲慢さが浮き彫りになる。それは突き詰めれば帝国陸軍の脆弱さであり、かつての武士道の美学とは真逆の姿勢といえる。怖いのは、そんな歪んだ精神が戦後の社会を侵食していないとはいえないことである。

21/3/16(火)

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