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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

暗数殺人

『パラサイト 半地下の家族』は特例としても、相変わらず〈韓国映画に外れなし〉状態が続いていることを教えてくれる『暗数殺人』。 聞き慣れない〈暗数〉とは、「事故・事件の件数などで、届け出もなく調査も及ばないため統計に表れない実数」、だという(大辞林第三版)。  更に用語解説の事典に当たると、「捜査機関が認知している詐欺罪は年間6万件前後である。しかし警察には届け出られない事件(暗数)が,この数倍はあるものと推測される」とある。 これで少しはタイトルの意味が分かっていただけたと思うが、『暗数殺人』は未確認、未公認の殺人事件をテーマにした犯罪映画だ。 キム・ユンソク演じる刑事は、ある日、別件で収監されていたチュ・ジフン演じる凶暴な男から、「全部で7人を殺害した」との告白を受ける。しかし、男の証言以外に一切証拠はない。そもそも男は、何故自らそのような告白を始めたのか? 警察内部では彼の自白をまともに信用する者がいない中、刑事は直感的にその言葉が真実であると確信。上層部の反対を押し切り、捜査を進めてゆく。そしてついに男の証言どおり白骨化した死体を発見。だが、男は「俺は死体を運んだだけだ」と今までの証言をくつがえす。男の言葉に翻弄されてゆく刑事。果たして残る6体の死体は存在するのか? 犯罪者の非人間的な正体が炙り出されていく。 刑事のユンソクとW主演の殺人犯役を演じたのは、『アシュラ』『神と共に』『工作 黒金星と呼ばれた男』、最近ではNetflixオリジナル『キングダム』などで主演したチュ・ジフン。狂気と正気を往還する不気味な殺人鬼を体現した演技が素晴らしい。 監督のキム・テギュンは本作が日本でのデビュー作。1971年生まれの49歳。若手とは言えないが、こんな才能が突如浮上してくる韓国映画界からまだまだ目が離せない。

20/4/2(木)

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