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水先案内人のおすすめ

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現代の名人芸を追い続ける

山本 益博

1948年生まれ 料理評論家、落語評論家、プロデューサー

第614回「落語研究会」

TBS東京放送主催の「落語研究会」は8月の公演で第614回目となる。8月の「落語研究会」と言えば、忘れることができないのは、1971年(昭和46年)8月31日の第42回の公演である。 私は、第1回から定期会員の常連券を持っていたのだが、この年の8月、たまたま札幌にいて、落語好きの友達に席を譲っていた。その彼から、数日後、速達が届き、文楽が『大仏餅』の高座中途で絶句し、「台詞を忘れてしまいました。もう一度、勉強しなおしてまいります」と言って、高座を下りてしまったというのだ。 文楽はそのまま二度と高座に上がることなく、その年の12月12日、肝硬変で亡くなってしまった。昭和の落語史上、忘れられない大事件だった。 今回の出演は、柳亭市馬、橘家圓太郎、春風亭一之輔、春風亭正太郎の四人。文楽に比べれば、絶句などしない現役バリバリの落語家である。美声の持ち主市馬師匠の演目は何だろう。季節柄、もし以前に高座にかけていなかったら圓太郎師匠にはお得意の『祇園会』、一之輔師匠には『あくび指南』を期待したい。

19/8/17(土)

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