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水先案内人のおすすめ

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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み

伊藤 さとり

俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ

空白

これがオリジナル脚本だなんて! そもそも子供が居なくとも役者は親の演技が出来るだろうし、脚本を書くのも演出するのも子供が居なくても親子のドラマを生み出せるとは思っている。ただしそれには想像力と人への興味、沢山の感情を知ろうとする好奇心が無ければ成り立たないし、どんな人物であろうとも心に寄り添おうと思っていない限り、“粗”が映し出されてしまう気がする。 古田新太演じるパワハラ的な昭和の父親は、隅から隅までキライなタイプであり、関わったら嫌な思いをするに違いない存在。男一人で多感な年頃の娘を育てるのは大変だろうと思いながら、同情も出来ない行動を繰り返す。なのに目が離せない。 そして松坂桃李演じるスーパーの店長をはじめとする彼に追い詰められていく人々は皆、自分のどこが悪かったんだそうと自分を責め始める。そこに手を差し伸べようとする人の思いは果たして清いものなのか、まで映し出される。 そんな彼らの姿をそっと見守るアングルこそ、吉田恵輔監督特有の背中からの撮影という本人命名の「ドラゴン」がなせる技。どんな人であろうとも見捨てない。そしてセンシティブなシーンには細心の注意を払い、撮影していることが伺える。人はいつか変わる。だから見捨てない。そんな監督の思いが聞こえてくるような「生きていく」物語だった。

21/9/3(金)

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