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村山 匡一郎
映画評論家、大学講師
東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート
21/8/13(金)
アップリンク吉祥寺
コロナ禍が悪化をたどる現在、東京オリンピックが開かれている。57年前の東京オリンピックを知る者には、復興五輪やコロナ五輪と呼ばれる今日のオリンピックの姿を誰も想像できないにちがいない。そんな1964年オリンピックの際に開発の一環として国立競技場に隣接して建設された10棟からなる都営霞ヶ丘アパートが、今日のオリンピックの再開発で取り壊された。2012年に東京都から一方的に通達され困惑する住民たち。彼らの多くは身障者を含む高齢者であり、東京都や政府への要望書を提出するが相手にされない。都民ファーストより五輪ファーストの当局によって強制退去される住民の姿を解説なしで描くことで、華やかなオリンピックの裏側に渦巻く政治的思惑の一端が静かに浮き彫りにされる。
21/8/5(木)