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水先案内人のおすすめ

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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

戦火のランナー

走ることについて考えた。最近、ジョギングを始めたが、これは健康のため。平和な日本で暮らす人たちの走る目的は、ほとんどが自分のためだろう。ドキュメンタリー映画『戦火のランナー』に登場するグオル・マリアルの場合は違う。では、何のためなのか。 グオルは1984年、アフリカ・スーダン生まれ。内戦が続く同国では、村が襲われ、子供がさらわれていた。8歳の時、両親は迷った末にこの幼い息子を1人で村から逃がす。グオルは途中で武装勢力に捕まってしまうが、何とか走って脱出し、4年にも及ぶ放浪の末に難民キャンプで保護された。幸運にも難民として渡米。陸上競技と出会い、走る才能を開花させたことで、マラソン選手として2012年ロンドン五輪出場のチャンスをつかむ。 その前年、郷里は南スーダンとしてスーダンから独立していた。新しい国家のため国代表としての出場が危ぶまれたが、IOCは個人参加を認める。グオルは見事に完走し、祖国の英雄となった。 「危険から逃げるため」が「同胞たちの期待に応えるため」に。走る目的が変わっていく過程を、カメラは追い続ける。独立後も貧しく紛争が絶えない祖国の環境を少しでも変えようと、走り続けるグオルの姿が胸を打つ。

21/5/29(土)

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