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水先案内人のおすすめ

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テレビプロデューサー テレビは見ずに演劇、映画、コンサートばかり足を運んでいる

波多野 健

1954年生まれ プロデューサー(イースト・エンタテインメント)

ディリリとパリの時間旅行

フランスのアニメーションというのはちょっと変わっている。今どきの実写と見まがうばかりの精密さではなく、ひとつの“文体”として何か映画ではないアート作品を見ているような気分にさせてくれる。時代はベルエポック(1900年を真ん中にした30年)、絢爛たる登場人物が活躍するパリを舞台に、ニューカレドニアから来た少女ディリリが、女性の地位向上を認めない男たちの悪だくみに立ち向かうお話。といっても、サスペンスというより、シーンごとの美しい映像や、出てくる有名人を楽しんでいるうちに心奪われてしまった。ピカソ、マティス、モネ、ロダン、ドヴュッシー、ラヴェル、マリ・キューリー、パスツール…。この時代のパリには本当にすごい人たちが集まっていたのが実感できる。 主人公のディリリはまだ小さいが、頭がよく、そして何事にも前向きですごくかわいい。町で起きている少女誘拐事件を解決しようと、いろいろな人に会いにいって協力を求め、悪の組織に迫っていく。監督のミシェル・オスロが4年がかりで撮影した写真をもとにしているというパリの街が美しい。最後に当時の有名なオペラ歌手エマ・カルヴィ役のナタリー・デセイ(彼女は現代の有名オペラ歌手)が歌う歌が流れ、その素晴らしさにもう一度感動してしまった。とても、お薦めです。

19/8/20(火)

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