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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

空に住む

大林宣彦監督『理由』(04)は、高層タワーマンションを舞台にした群像劇だったが、その中でも印象深い登場人物のひとりだったのが、810号室に住む中学生の少女だった。演じていたのは、デビューして間もない頃の多部未華子。それから16年後、『空に住む』で彼女は再び、高層タワーマンションの39階に戻ってくる。両親が急死し、叔父が投資のために所有する部屋を無償で貸してくれるという設定だったが、僕には『理由』の少女の16年後の姿に見えて、仕方がなかった。 勿論、『共喰い』(13) 以来7年ぶりの青山真治監督作品であることは承知の上だが、『これは経費で落ちません!』(19)や、『私の家政夫ナギサさん』(20)などのTVドラマで健闘する彼女が、仕事や恋愛や人生の狭間で揺れる姿を、淡々と描いた作者の謙虚な姿勢に感心した。猫のハルの捉え方もいいし。

20/10/20(火)

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