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杉本 穂高
映画ライター
ヒキタさん! ご懐妊ですよ
19/10/4(金)
丸の内TOEI
まず、本作は題材が素晴らしい。男性の妊活というほとんど取り上げられたことのないテーマを、原作者の体験談として苦労の実態を丁寧に掘り下げている。子供を作れない身体であると宣告される苦しみは、女性の問題として語られることが多いが、不妊の原因が男性側にあることもしばしばあるようだ。 精子の運動量というものがあり、それを向上させるのがこんなにもつらく大変なことだとは全く知らなかった。そして、自分のせいで妻に負担をかけることの、男としての情けなさを恥じる主人公が痛切だ。本作は、男性の不妊治療に関して多くの人が知らないであろうことをたくさん教えてくれる。その意味で、本作は“未知との遭遇”にあふれていた。
19/10/4(金)