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水先案内人のおすすめ

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この映画を観ると世界がわかるという作品を

池上 彰

1950年生まれ ジャーナリスト、名城大学教授

ペトルーニャに祝福を

男たちしか参加できない宗教行事に女性が参加したら、何が起きるのか。なぜ女性はダメなの? と聞かれたら、なんと答えるのでしょうか。 映画の舞台は北マケドニア。と言っても初耳の人も多いことでしょう。旧ユーゴスラビア連邦が崩壊した後、独立を果たしたマケドニア共和国が、「マケドニアは我々の国の名前だ、勝手に名乗るな」とギリシャの抗議を受け、名前を変えたのです。マケドニアは、かつてアレクサンドロス大王を生んだ伝統ある名前だからです。この映画にもアレクサンドロス大王の名前が登場します。 ここはキリスト教の東方正教会の国。川に投げ込まれた聖なる十字架を男たちが奪い合うという宗教行事の最中、たまたま通りかかったペトルーニャが十字架をキャッチしたものだから、さあ大変。女人禁制だと怒り狂う男たち。警察が出動して、ペトルーニャを取り調べるのですが、「私は逮捕されたの?」と問い返す彼女に、警察署長は答えることができません。 十字架を取った者には幸せがもたらされるという言い伝えがあるのですが、さて、彼女に幸福は来るのでしょうか。 そういえば日本の相撲の土俵も女人禁制だったと思い出すのですが、きっとペトルーニャのような女性によって、「伝統」の名の下の女性差別は消えていくことになるのでしょう。

21/5/15(土)

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