1969年5月13日に東大駒場キャンパスの900番教室で行われた三島由紀夫と東大全共闘との討論集会。その討論会をTBSに保存された記録映像から構成したドキュメンタリーだ。全体は4章仕立てとなっていて、三島由紀夫の発言に現在の幾人かの識者や体験者の語りが挿入されるが、三島の発言がきわめて論理的であり、自分の立場がどこにあるのかに自覚的であるのが面白いし、1年半後に自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決した三島の姿を重ねてみると興味深い。討論会そのものはいわば当時の左右の論理の対決として時代の雰囲気を伝えてくれるが、こうした記録映像はほかの事例にも多数あると思われる。そんな記録映像の歴史的資料としての価値を生かすようなあり方はもっと考えられてもいいのではないか。

20/3/19(木)