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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

サイレント・ソルジャー

スペイン内戦は、アーネスト・ヘミングウェイ原作、ゲーリー・クーパー、イングリッド・バーグマン主演『誰が為に鐘は鳴る』(1943年/サム・ウッド監督)で世界的に有名になった。またジョージ・オーウェルのルポルタージュ『カタロニア讃歌』、五木寛之『裸の町』『戒厳令の夜』、佐々木譲『エトロフ発緊急電』の背景にもなっているのでご存知の読者も多いと思う。 本作『サイレント・ソルジャー』はそのスペイン内戦で、フランコ独裁政権打倒、祖国奪還のため立ち上がったゲリラ兵たちによる「レコンキスタ作戦」を描いた戦争アクション。 ゲリラ兵を率いるアンセルモ(アシエル・エチェアンディア)は奇襲作戦に失敗して部隊の大半と聴覚を失い〈サイレント・ソルジャー〉となる。彼は後続部隊の到着まで山中に隠れ、反撃の機会をうかがう。一方、捕虜になった戦友のビセンテは苛烈な拷問にも屈せず、アンセルモの居所について口を割らない。いら立った政府軍に雇われた傭兵とアンセルモのあいだで、熾烈な戦闘が始まる。 たったひとりの戦闘を余儀なくされた〈サイレント・ソルジャー〉もタフだが、それ以上に凄いのが傭兵の隻眼(アイパッチがよく似合う)の女性スナイパー・ダリア(オリンピア・メリンテ)だ。残忍無比で狙撃の腕はゴルゴ13なみ。果たしてアンセルモは戦友を救い出し、スペイン奪還を果たすことが出来るのか。彼の行く手には常にダリアの銃口が向けられている……。監督・脚本はアルフォンソ・コルテス・カバニージャス。 特集上映の一本の中に埋没させてしまうにはもったいない戦争映画の佳作だ。 (12月4日よりヒューマントラストシネマ渋谷にて特集上映『ワールド・エクストリーム・シネマ 2020』内で公開)

20/11/30(月)

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