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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

葬式の名人

映画界の書き手の先輩、映画評論家・樋口尚文氏の監督第2作。この方は常にバイタリティーあふれる活躍ぶりで、いつも到底足元にも及ばないな、と感服しているのだが、なんと2作目の監督作まで手を出してしまった。恐るべし。 もちろん、樋口氏は学生時代から自主映画監督として、その名を馳せ、広告代理店時代は数々の映像作品を手掛けているので、演出はお手のものだろうが、映画は1本目は撮れても、2本を撮ることは難しい。 本作は川端康成の原作群がモチーフ。小学生の息子と2人で暮らすシングルマザーの雪子(前田敦子)と母校の野球部で顧問を務める大輔(高良健吾)が、高校時代の同級生・創(白洲迅)の訃報を機に再会し、亡き友を送り出すために奇想天外な通夜を仕立てるというストーリー。川端が幼児期から10代を過ごした大阪府茨木市が、市制70周年記念事業として全面協力した。 昨年6月のロケハン中には大阪北部地震にも発生し、一時は製作延期も頭によぎったそうだが、猛暑の中、わずか12日間で撮り上げたと聞くから、これまた驚き。川端康成の名前を借りて、実に自由に楽しげに撮っておられる。そして、随所にはそのシネフィルぶりが垣間見られる。

19/9/19(木)

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