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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

Shari

映画を観る喜びのひとつに、未知の才能との出会いがある。それも、今まで観たことのない、思いがけないものに出会うと、喜びはさらに大きく膨れあがる。ダンサーでもある吉開菜央監督の作品との出会いは、昨年末公開の短篇特集上映「Dancing Films」が初めてだったが、この初の長篇『Shari』を観て、さらに興奮させられた。日本の最北端に位置する知床・斜里町(だから題名はShari)に招かれ、当初は15分の短篇を撮るはずが、壮大な風景や動物たちと触れあううちに、吉開監督独自の世界が紡ぎだされる。何より長い眠りから目覚めた“赤いやつ”が、風景の中に投げ込まれて、土地の子供たちと相撲をとるに至っては、そのイメージの広がりに圧倒される。吉開監督自身が異物である“赤いやつ”に扮し、フィクションとドキュメントの垣根を軽々と越える魅惑の63分だ。

21/10/21(木)

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