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杉本 穂高

映画ライター

閉鎖病棟―それぞれの朝―

死刑執行されながら生き延びてしまった人という、大島渚の『絞死刑』を彷彿とさせる設定で、閉鎖病棟で暮らす社会から弾かれた人々の受容の輪と、法とは何かを描く人間ドラマ。 かつて死刑囚として法律によって裁かれ、生き延びてしまったがゆえに世間的には死んだことにされた男を笑福亭鶴瓶が見せたことのない顔で演じている。人が人を裁くとはどういうことかを閉鎖病棟で起きた事件を通じて観客に切々と訴える。 平山監督は『グラン・トリノ』を頭に浮かべて脚本を書いたらしい。なるほど、法の外にいる者にしか裁けないものがこの世界にあるのだろう。アウトローを必要とする社会は悲惨だが、アウトローのいない社会はもっと悲惨かもしれない。

19/11/1(金)

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